普通に見えるから、理解されない

今日はありがとうございます。早速ですが、川野さんのお子さんについて教えてください。
川野さん
はい。年子で、上がひなた、下がだんです。2人とも自閉症の診断があります。
うんうん。
川野さん
自閉症の中でも、ほんとにいろんなパターンがあって、うちの子たちは、わりと陽気な感じですね。人との距離感が分からなくなっちゃうというか。好きな人にいきなり抱きついてしまったり、衝動的に走り出してしまったりします。
それ普通じゃん(笑)
川野さん
んん〜でも、車が走っていても、向こう側に気になるものが見えると、もうそれしか見えなくなってしまって、車の真ん前にでちゃうんですよね。音も入ってこないみたいで、本当に危ないです。
それは常に気が抜けないね。車にぶつかっちゃうと大変だから、一回自転車とかでぶつかってみるとか?(笑)
川野さん
もう何回かぶつかってます(笑)
それでも覚えないのは大変だね
川野さん
目の前の気になるもの、夢中なこと以外入ってこないみたいで…
じゃあさ、ダーツとかビリヤードとかプロになれるんじゃない?
川野さん
そうですね。何か集中できることを見つけて欲しいですね。
何の障害か忘れたけど、プロゴルファーの人がいて、バンカーに入らない理由は、彼は、バンカーが見えないんだって、それすごくない?今の話聞くともうそれやん。
川野さん
確かに(笑)
今、おいくつでしたっけ?
川野さん
7歳と6歳です。
じゃあ、まだプロゴルファー間に合うね。
川野さん
そうですね。でも親が大変そう(笑)
あと何があるだろう…要するにさ、周りが見えないって長所なわけじゃん?それを活かすって何だろうね〜
川野さん
絵を描くのも過集中になるので一度描き始めると、ごはんの時間でも寝る時間でも途中でやめられないんです。プロのアーティストの方もそういう方おおいですよね。
基本、重度の子どもをONEARTではやってて、軽度のことで何を聞いたらいいか迷うんだけど、今までどういうことで困った?
川野さん
一番大変だったのは、言葉は話せるし、ぱっと見は「普通の子」だと思われるので、周りに「なにこの子?」と思われちゃうことですね…
ああ……。
川野さん
言葉が話せなかったり、明らかに見て障害があるなっていうのがあれば周りも理解してくれるんですけど、うちの子たちは特性が伝わりにくくて、普通の子と思って見て「え、なんでこの子こんなことするの?」っていう目で見られることが多くて。外に連れていくのが怖かった時期もありました。
うーん…今はもう余裕でしょ?
川野さん
余裕ではないですけど(笑)親がちゃんと見れないって思われるし、子どもたちが走り回ってしまったり、周りの空気を読めなかったり?そういうのの理解が全然得られなくて…もう…「見れないなら連れてこないで?」みたいな扱いを受けたこともあります。
神戸の人ってどう?
川野さん
いろいろですけど、意識高い人が多いですね。普通に見えるからこその大変さはありました。
昔、大阪でインタビューした時にね、周り子に「変なやつおる」って言われた時に、そのお母さんが「あんたの方が変や!」って言い返してる人がいて。
川野さん
すごいですね……
ああいう強さ、本当に尊敬するなって思った。
重なっていった現実
さっきは「今」の話を聞かせてもらったけど、そもそも、最初に「障がいかもしれない」って分かったのは、いつ頃だったの?
川野さん
妊娠中から、いろいろ重なっていて。私が妊娠糖尿病になったり、妊娠初期から切迫で入院したりして、ずっと入院した状態だったんです。すごくたくさん薬を使っていて、その影響で、私自身が心臓が止まりかけてしまったこともありました。お腹の中にいる時から、もういろんなことがある状況で。
川野さん
それでも、無事には生まれてきてくれたんですけど、生まれてからも、床に置けない子で。抱っこしていないと、ずっと泣き叫んでいて、寝たと思ったら、また泣いて、また抱っこして……みたいな。「育てにくい子だな」っていう印象はありました。
川野さん
それでも、なんとか育ってはいたんですけど、歩き方がおかしくて。ちょっと歩いては転ぶし、すごく内股で。「この子、足が悪いのかな?」って思っていたら、一番最初の検診で、こう言われたんです。
川野さん
「お母さん、この子、足が悪いんじゃなくて、感覚の使い方が分かってないんですよ。だから、よく転ぶし、手づかみでご飯を食べちゃうし、スプーンとかも持てないんです。」って。
川野さん
そこから、診断が下りるまでに、半年以上、待つことになって。病院に行ったら「ここも難しいですね」「ここも課題がありますね」って言われて。
川野さん
パッと見は普通に見えるんですけど、最終的に、「療育手帳を取れるレベルです」って言われました。その時は、さすがに、びっくりしました。
最初の診断って、何歳くらいだったの?
川野さん
3歳くらいですね。
じゃあ、ひなたが一歳上だから4歳の時か。ひなたは?
川野さん
ひなたの方がだんとは比べるとできている部分はあったんですけど、言葉が、吃音っていって「僕わーあーあーあー」みたいな感じで繰り返し言葉なんですね。気になってたんですけど、小さい子特有でかわいいなと思っていて、それを病院で伝えたら「この子も一緒に診てみよう」って感じで二人仲良く引っかかりました。
うんー。ひなたのとき、妊娠中は?
川野さん
妊娠中は糖尿病とかあったりしたんですけど、そこまで酷い事はなく、2人が生まれてしばらくした時に夫が交通事故にあって、人格が変わってしまって。子どもたちパパっ子だったのでそこで一度、精神的にかなり追いやられてしまったというところから、色々気になるところが増えていった感じですね。
なかなか大変やね、闘ってるね〜
川野さん
そうなんですよ。そのタイミングで私も足が悪くなってしまって杖がないと歩けない状態になったので、子どもたちは療育に行かせてもらってそこでいろんな遊びとか、いろんなとこ連れてってもらって、色々な経験させてもらって助かってます。
今も足悪いの?
川野さん
今も足悪いです。
まじかよ、闘ってるね〜
川野さん
でも今もう周りみんな支えてくれるんで、毎日ハッピーに生きてます。
今は車いすなの?
川野さん
車いすだった時もありましたが、体に機械を埋め込んで、装具をつければ歩ける状態まできました。多分、子どもがいなかったら「もういいや」って思って、車いすのまま動こうとしなかったと思います。
あると思う。それはほんとだ。
川野さん
そうですね。
いきなりなかなかヘビーだね。
川野さん
そうなんですよ。父親の件がなかったら、子どもたちもちょっと違う風に育ったんじゃないかな?というのが私の中では大きくて。
え、今いくつといくつだっけ?
川野さん
7歳と6歳です。
じゃあ全然、今からまだまだ変わるね。
川野さん
そうですね。
三人の子どもと、生きていく
普段の生活で気をつけてることって何?
川野さん
やっぱり安全ですね、飛び出しちゃうので。
二人とも飛び出すの?
川野さん
ひなたはそこまで酷くないです。だんが飛び出すし、家を勝手に出ていっちゃいます。あとなんでも口に入れるので、落ちてるタバコとかも口に入れちゃったり、葉っぱを食べてしまったり。
扉の鍵を上にしたりしてないの?
川野さん
ちょっと賢いので、椅子を持っていきます。
そういうことね、賢いんだ。
川野さん
だから、ここをこうしたらできるとか、椅子を使えば食べ物を取れるとか、わかるんですよ。
それなのに車の前に飛び出しちゃうんだ。
川野さん
そうです。だから何もできない訳ではなくて、できることとできないことがボコボコなので、そこも難しいんですよね。
まあ、軽度あるあるだね。そこまでいってはたしてこれは軽度なのかっていう話もあるけどね。
ひなたは?
川野さん
こだわりが強いので、絵を描いてて、ちょっとはみ出したり、思い通りにいかないとそれだけで2~3時間癇癪が続いたりですね。
あー癇癪?具体的にどんな感じになるの?
川野さん
泣き叫んで転がって「うあああああ」っていう状態ですね。
あー
川野さん
こっちが「上手に描けてるよ」とかどんなに声かけても「前はこうできたのに…!」とかっていう、自分の中で自分が許せない、すごい生きづらいタイプですね。
まあ、あるよね。その人のこだわりで、ちょっと違うとね…癇癪は起きないけど、俺も不機嫌から立ち直れんくなったりするもん。
川野さん
どこまでが個性で、どこまでが特性で病気で~ってなったら難しいですよね、すごく。
難しい。まあでもだんの話聞いてると、ひなたはそれくらいじゃんって思っちゃうね。
じゃあ、だんは外行くときどうしてるの?縛っておくわけにもいかないじゃん。
川野さん
もっと小さいときはハーネスつけてました。でも最近になるまではベビーカーに乗せてました。じゃないともう気になるものがあるたびに動きがストップしちゃうので、どこも動けないし、時間が守れないので、ベビーカーに乗せて運ぶ、っていう。
ベビーカーから降りない?
川野さん
降りたいときは、ギャーギャーですね。
ジャンプして降りたりとかはしないんだね?
川野さん
んー降りたいときは「降りたい〜!わ~!!」とはなりますけど、基本的にそんなに歩くのが好きなタイプじゃないので 割と乗ってくれてました。でもどうしても無理だったら飴ちゃん渡したりとか…
それで落ち着く?
川野さん
落ち着きます!(笑)
あ~(笑)ならいいね。
川野さん
その時によります。無理な時は何してもダメ。軽いときはちょっとした切り替えはだんのほうが上手なので。ひなたは 切り替えれず、ずっとしつこく、という感じなので、タイプが全然違って。
一人で二人は、そもそもなかなか大変…
川野さん
もう一人いるんです。
むむ。
川野さん
中学三年生の男の子がいます。
その子は弟たちの世話は?
川野さん
受験生で今頑張っているので、自分のことでいっぱいいっぱいですね。あとは一人っ子期間が長くて歳の差が開いているので、兄弟というより一人っ子と二人兄弟という感じですね。下は懐いてるんですけどね。
まあまあ中学生だからね。
川野さん
そうですね。
男の子、どうなんかな。インタビューしたり展示会場で仲良くなる人の話聞いてると大体お姉ちゃんなんだよね。常に気にかけててみたいな。
川野さん
うんうん。弟たちのことはあまり気にかけてくれないけど私のことは結構気にかけてくれるので。なので、ありがたいですね。
最高じゃん、それ。昔ワンアーティストにいて手伝ってくれてた男の子にいつも言ってたのは「ママを守ることしか考えるな」だもん。男はそれ!
川野さん
(笑)
お兄ちゃんと、その二人だ。闘ってんな、まじで。ほんで自分の時間は?ない??
川野さん
全然ありますよ。
じゃあいいじゃん。
川野さん
だから、メンタル保っていられます。
自分の時間に何してるの?
川野さん
ドラマ見たり?元々看護師をしていてものすごい忙しかったんですよ。子供よりも何よりも仕事優先で生きてきて足が悪くなったことをきっかけに障害年金をいただけて、前より子どもたちと向き合って過ごせるようになって。そうじゃなかったら多分子どもに手出てたりしてると思います。
そうだよね~
川野さん
穏やかに子どもたちと向き合ってあげれる時間ができて、結果オーライだな、全部。みたいな感じになってますね、今。
ほんとそうだよね。状況だけ聞いたら、何かのそういう支えがないと大変やん、メンタル的にも。だから手が出ちゃうなんて話はさ、ほんとだよね、そらもうね。
川野さん
そうですね。自分が追いつめられるとやっぱりもう大変な子供って当たっちゃうと思うので…でもぐんぐん(施設)の方とかも気にかけてくれて、私がしんどくなったら「お母さんちょっと喋ろう~」っていってすぐ駆けつけてくれて、面談してくれて、吐き出すところもあるしって感じで、もう本当に支えてもらっています。
おお〜…!やっぱり(ぐんぐんで働いてる人)みんなお母さんだからだよね、それ。
川野さん
そうなんですよ、わかってくれる。シングルマザーで買いに行ったりが大変とかも全部考えてそういうことをしてくれます。
ほんと素晴らしい施設!そんで、次の”学校”で一個また物語が変わるね。
川野さん
そうです。ひなたは学校入って最初はトラブル続きで、毎日のように怪我して帰ってきて…って感じで。
どゆこと、怪我って。
川野さん
なんかね、小っちゃくて弱いので、強い子から攻撃を受けてしまって…うん。それで、言葉でうまく言えないから 喋れるんですけど、自分の気持ちをうまく出せないので、先生に「怪我した」とかを言えず、家に帰ってきてから、号泣するって感じで、気持ちの放出っていうのができるように施設の方でいろいろトレーニングとかもしてくれるんですけど、最初立て続けに怪我を繰り返してました。
それ大問題やん。
川野さん
大問題です。でもだいぶ落ち着きました。学校は気づかなかった、すみません。という感じで。でも、どうやったらひなたくんが気持ちを伝えられるかな?というのでお助けカードみたいなのを作ってくれて「口で言いにくくても、先生のところにカード持っておいで」みたいな感じでサポートしてくれてたりとか、特性があるっていうのを理解してくれて対応はしてくれてますね。
最初から対応はよかったの?
川野さん
すごい良い先生だったのもありますし、ぐんぐん(施設)が入って先生とこういうところがあるからこういう風にしてほしいというようなアドバイスとかもしてくれてますし、繋いでくれてますね。
そうなんだ。
川野さん
藤川さん(ぐんぐんの方)は、「学校との連携はぐんぐん(施設)を超えるところはない」と言ってましたよ、このあたりでは。
ほほう。でもそういうのって、先生よりもノウハウがある人がそうやって教えられるのがいいよね。
川野さん
そうなんです。元々先生もやられてたから先生側のそういうのも分かるし、うん。
了解了解。ちゃんと対応してくれてるのね。ほんで今一月だから、だんの学校は何月に分かるの?
川野さん
4月にならないと分からないです。
ああそうか、行き出して、か。
川野さん
ただ今の状況も保育園からも、ぐんぐん(施設)からも伝えてはいて、ちょっとこういう子なので、配慮がっていうのでクラス編成はしてもらうことになってます
了解です、了解です。ぶっちゃけどっちがいいとかあるの?
川野さん
周りのことを考えると支援級に入れたほうが迷惑がかからないなと思うんですよ。授業中におとなしく座ってるっていうのが難しいと思うんですよ。それで隣の子に声をかけてしまったり立ち歩いてしまうと、周りの一年生の集中が切れてしまったりって考えると支援級。でもやっぱり普通級で周りと一緒のことをできるようになってほしいなっていうのもあったり。なかなか葛藤があります。
そうだよね。


